-入場-

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   しかしコレは由々しき事態だ。俺に特殊な性癖がない限り、ここに女物の服なんてあるわけがない。まして、下着などあるはずもない。  だけど、何とかしないと。俺が社会的に死ぬようなハメになったら困る。というか、たとえ女物を持ってて、リズに差し出しても、それはそれで社会的に死ぬ。  さっきから風呂場から断続的にSOSが聞こえてくる。見知らぬ女を風呂に入れてるだけで社会的に瀕死なのにこれはマズい。  何かなかったか……。俺が持ってて不自然ではなく、かつ、リズが着れそうなもの……。  あっそうだ、学校の体操服なら……。アレなら女子でも問題ないな。うん、それだ。  引き出しから体操服を引っ張り出し、脱衣場まで持って行ってやる。分かるような場所に置いた時、スリガラス越しに移る肌色の姿に心かき乱されたけどグッとこらえた。  するとSOSコールからラブコールに変わった。『下着は?』と聞かれて『ねーよ』と答えると怒られた。俺に変態になれとでも言いたいのか! 意味が分からない!  リビングに戻り、軽く嘆息。ただ待ってるのも暇なのでラーメン鉢を洗う。  洗い終わって、バタバタしていたのも一段落したので床に腰を下ろした。風呂上がり暑いだろうからクーラーつけといてやるか。さてと……  とりあえず整理しよう。  まずは最初から。  リズが家に来た(侵入した)理由は俺があの現場を見てしまったから。  んで、その時に俺に付着したマナとやらを追いかけて俺の家を特定。炎天下の中お疲れ様。  リズは迎えに来た、と言った。何の迎えってのは後で教えてもらえるだろう。朧気ながら見当はつくものの、閻魔大王の使いとかではないことを祈るしかない。  ―――これくらいか?  迎えとか言う割にはほとんど教えてもらってないな。後で分かるだろうから別にいいけど。  あっ、そういえば今日部活じゃないか。なんやかんや時間食ったし、もう間に合わないか……な?  それより今は昨日のことが知りたい。遥人には悪いけど休ませてもらうかな……。
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