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「―――ああ、うん。ちょっと用事できたから休ませてもらっていいか?」
休むときには連絡。部活に所属する以上マナーだと思う。
「ああ、悪いな。それと、明日って朝昼どっちだ?」
にしても〝迎え〟か。
あんなファンタジックなもの見たからな。そりゃもうファンタジーからの迎えじゃないか?
「朝ね、りょーかい。え? そうなのか?」
日本人っぽい顔してんのに名前横文字だしな。うーむ分からん。
「まあ雨降ったら連絡よろしくな。うん、じゃあ明日。悪いな」
携帯を閉じる。と、ドライヤーの音が聞こえる。大方、リズがを勝手に見つけたんだろうって待て待てコノヤロウ。アイツ人の家をなんだと思ってやがる。
まあいいや。アイツのハチャメチャな感じにはちょっと慣れたし。慣れって怖い。
「あがったわよー!ありがとねー」
「はいはい、どういたしま―――えっ?」
ドアが開かれ目に映った光景に俺は我が目を疑った。
ガチャっとリビングを開けて入って来たのは、さっきまで風呂に入っていた女。でも、その姿は入る前と異なっている。
「似合ってるかな?変じゃないよね?」
「えっ……いやお前……なんだよそれ……」
俺が体操服を貸したから、というわけじゃない。異なるのは服装とかそういう話じゃない。
「ん? ああ、これ? ゴメンね驚かしちゃって。ちゃんと説明するよ」
困ったようにはにかむ彼女。驚くのも仕方ないじゃないか。
ホンの十数分前。風呂に入る前まで真っ黒だった彼女の〝髪〟は―――
――――透き通るような、水色をしていた。
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