-日常-

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      ‡  ‡  ‡  昼飯を食べ終え、練習着に着替え、ラケット片手に部室から出る。太陽が俺達を迎えた。  俺と慶佑はソフトテニス部。硬式テニスにも興味はあるけど、どうもここ〝晃亜高校(こうあこうこう)〟には硬式テニス部は存在しないらしい。残念。  晃亜高校――コア高とか略される俺達が通う高校は、実は進学校だったりする。でも、その辺の高校とさして変わらない。何が違う?  と聞かれても答えられない。そんな感じの高校。  外に出るとフェンスに囲まれたテニスコートが四面見える。ここは運動場の端っこ。学校全体が見渡せ、野球部が声を合わせて走っているのが見えた。  テニスコートの方を見ると、既に何人かウォーミングアップを始めている。既に誰かと打ち合ってるヤツもいれば、柔軟してるヤツもいる。  太陽は真上に輝き、夏たる雰囲気を全面に押し出す。その光とクレーコートからの輻射熱が、上からも下からもよってたかって肌を焦がす。うざい。ものすごくうざい。鈍った身体に容赦のない太陽が。  まあ、運動が始まれば、集中で多少暑さは紛れるものだ。その前に、   「海、斗! 早、く、走ろ、うぜ!」  何にせよランニングは必須である。  慶佑が飛び跳ねながら言う。嬉しそうだなオイ。暑苦しいぞ。  とはいっても、俺もテンションが上がってるのは確か。積年(二週間)の恨みつらみの分、張り切るしかないというものだ。 「俺のスピードについてこれるかッ?」 「フッ……もちろん。あっ、ちょ、待て!」  俺、ダッシュ。  慶佑が何か言ってるけど気のせいだ。
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