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「ハッ……海斗ッ……お前……ハァ……バカじゃないのか……?」
「慶佑こそ……ハァ……ハッ……飛ばしやがって……」
ちょっとダッシュして普通に走るつもりだったのに、慶佑がマジダッシュ。何となく負けたくなかったからさらに加速。そして地面に大の字になる今に至る。
「やっぱり……テスト明けはキツい…」
空を見ながら呟く。二週間で結構体力落ちるもんだ。
「とりあえず打つか。ボール取ってくるから先にコート行ってて」
「いやほほぉーーい!!」
慶佑が奇声を上げながらコートに走っていった。元気なのな。
ていうかとにかく暑い。練習する前からユニフォームが汗臭い。いくら夏とはいえ、太陽も限度ってモンを知らない。背中から伝わる地面の熱が体温を更に上げる。
そんなうだるような暑さの中、立ち上がり部室へとボールを取りに行く。体に付きまくった土に一層の不快感を煽られながらはたき落としていると、後ろから声をかけられた。
「おー海斗! 久しぶりだな!」
振り返るとそこには我らが部長、三浦遥人(みうらはると)がいるじゃあありませんか。
「遥人! 久しぶりだな」
慶佑と違って、遥人とはクラスが違うので部活以外じゃそれほど会わない。テスト期間中は一度も会わなかったから、実に二週間ぶりの再会である。
にしても相変わらず爽やかなヤツだ。目がキリッとしていて少し高い鼻、無駄に笑顔が似合う全体的に整った顔立ちの茶髪のガイである。汗かいても汗臭さとは縁遠いような、そんな爽やかボーイ。
「テストどうだった?」
「まぁ~悪くはないって感じだな! ヤマが当たって良かったぜ!」
なんて言っちゃってるけど、遥人は学年30位以内に入るデキる子なのである。学年は500人ほどだからすごい。謙虚だなぁ、うん。
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