-日常-

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  「遥人。今日は何時までやるんだ?」 「ん。まあテスト明けだしなあ。体力も落ちてるだろうし、いつも通りやるか」  何かがおかしい。 「ははっ、冗談だ。体力落ちてるのは確かだろうし、5時までにしとこうと思う」  今1時過ぎだから4時間ほどか。うん、丁度いい感じだ。気持ちよく汗を流して帰ろう。 「それじゃあさ、終わったら慶佑誘って飯でも行かないか?」 「おぉ! いいじゃんソレ」  俺は汗を拭きながら、遥人は着替えながら、和気あいあいと。こういうの二週間ぶりか。あぁ和む。俺こういうゆるったい時間が好きである。  遥人の着替えが終わり、準備オーケー。ボールカゴを持ってコートへ向かうと、慶佑がブンブン素振りして待っていた。 「来たな海斗! 軽くひねり潰してやんよぉぉおおお!!」  ほっほーう? いい度胸だ……憂さ晴らしには丁度いい。溜まりに溜まった我が悲しみをぶつけてやる。 「元気すぎじゃん? 慶佑のやつ。素振りにもなってないし。なあ海……」 「うっしゃあ! 行くぜ慶佑ぇ!! うおおお!!」 「聞いちゃいねぇな。こりゃ集合かけても無駄か。アイツら抜きでいいや」  遥人のそんな呟きが後ろから聞こえたころには俺達はもう打ち合っていた。最初はゆるいラリーで肩を慣らすのが通例だが、最初からドライブ回転バリバリで打ち合った。 「スーパーウルトラグレートなんちゃらかんちゃら円月輪海嵐ぃぃ!!!」  遠くから、遥人の集合の合図が聞こえた。が、慶佑の意味不明な叫びがそれを掻き消す。叫びとともに返された打球を返すのに、俺も声を張り上げた。  これなんだ。何も考えず、自分が心から没頭し、それ以外何も見えないこの感じ! これこそ至高の喜び! 単調な生活に求めてやまない悦楽!! 快感!!  夏は最高だ! 冬じゃこうはいかない。否が応でも動きが鈍くなり、着込んだ服達が保温の代償に体の自由を奪う。  今年は何をしよう? どこへ行こう? 山? 海? プール? ええいどこでもいい! 想像すればするほど、胸は高鳴り、心は躍る! 何をしようが関係ない!  空からは燦々たる太陽が見下ろす。 一年で最も刺激的な季節がやってきた。
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