危険な彼女と俺の追想劇

＃3 重なる二つの影

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ーー旧桜之城跡

咲良が指定した場所は桜ヶ丘の南に位置する『旧桜之城跡』という場所だった。

ここは連日、多くの観光客で賑わうほど有名な桜ヶ丘のスポットの一つだ。

とくに桜が咲く４月は夜のライトアップが見ものでそれを目当てでやってくるものが多い。

今は4月18日。桜がほとんど葉桜に変わってしまったこの時期は大分客足も減ってきていた。

「……しかし、なぜここなんですか？」

部下の一人が俺に問いかけてくる。
そりゃ最大の疑問だろうーー
俺だって知りたい。

そりゃ連続殺人を予告するぐらいの猟奇的殺人犯なんだから人の多いところは俺だって指定してくるとは思ってたけどーー

「……とにかく、ここなんだよ!!
お前は黙って配置についとけ!!!」

「……相馬さん、まさかやけになって言った訳じゃないですよね？」

ついに理由を説明出来ない俺は後輩にやけ扱いされてしまった。

「んなわけないだろ!!!!ここったらここなの!!!!!!」

しかしもしここが次の連続殺人の現場だとしても一般のお客は全員強制退場させたしいるのは警察とわずかなスタッフだけーー

殺人なんて出来る状況じゃないだろう。

それにもしここで事件らしきものが起きればそれは同時に犯人が警察関係者かスタッフかを示していることにも繋がるし。