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―§―
同日、深夜。
俺は一通りの準備を終えて、待ち合わせ場所である人気のない公園にいた。
昼間俺は彼に告げたのだ。
「お前の秘密は知っている。妹のことも含め、気になるならば今日の夜十一時、○寺近くの○○公園に来い。」
と。
結果として奴は現れた。
その背後には五人の派手な服装をした若者たち。
「またずいぶんと物々しい。」
そう言う俺に、彼は苛立たしげに言い放つ。
「黙ってろ、ガキが。何を知ったかしらねえが、馬鹿もたいがいにしとけや。」
その言葉と同時、その仲間たちがずいっと前に進み出てくる。
だが俺はそんなことを毛ほども気にせず言葉を並べ立てていく。
「大原芳樹、建築業者として働く傍ら麻薬の売買に手を染める。差し詰め妹にそれを知られたのだろう、己の妹までも薬で絡め捕ろうとした所、彼女の様子が急変。焦ったお前は四方に走りまわった結果、俺の所に辿りついた。まあ、結局はそれが裏目に出たわけだが……。」
「てめえ、それをどこで……!」
「お前らの言う悪霊が教えてくれたのさ。」
俺が視えていたのは、麻薬という現実の亡霊に取り憑かれ、挙句の果てに命を落とした人々の霊。
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