残った想いの底力

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驚愕に目を見開く男たちの目の前で、それらは姿を現していく。 男、女、犬、猫。 そんな現実的なものから、巨大な体躯を持つ狼、炎を纏った狐、不気味な霧を纏った武者など、ファンタジーな存在まで。 「なんだ、なんだってんだ!?」 「おい、なんだよこいつらっ……!?」 「来んな、こっち来んじゃねえ!!!」 瞬く間に混乱の極地に陥った男たちに、それらは一斉に襲いかかる。 「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!」 男たちは当然のごとく、次々と意識を刈り取られていった。 後に残ったのは不気味な静寂。 と、巨狼が口を開いた。 『こんなもんでよかったのか?』 武者は言う。 『またつまらんことに駆り出しおって。』 女が言う。 『まあアタシはどうせ退屈だったし、どーでもいいけど。』 犬が鳴く。 『わんっ。』 霊といっても様々だ。 その存在が強ければ、それは現実にも影響を与えることができるほどだし、その姿形まで変えてしまう。 勿論そうなるまでには生前の、凶悪とも言える想いが必要なのだが、それに応えるのが、俺の本当の仕事。 .
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