残った想いの底力

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心霊相談室。 表通りから少し外れた、落ち着いた大人の趣漂う裏通り。 そこに溢れる中小ビルの一角にそれはある。 ほの暗い廊下の先、小さな看板が掛けられた鉄の扉を開けると、まず目に入るのは一般人には理解できない幾何学な紋様。 ほとんどの人間はその意味が分からないだろう。 そしてその筋の専門家でも分かるまい。 なんせ、この紋様は別に大した意味も持っていないのだから。 何となく扉を開けたところにあれば分かりやすいんじゃね?というのが俺の持論。 ちなみに、こんな感じで街の至る所に住所と共に貼ってある。 迷惑なんたら条例に違反するとかで警察が乗り込んできたこともあったが、一度捜査に協力してやったらそれ以来なんの音沙汰も無くなった。 所詮国家権力なんてこんなものである。 玄関を抜けると、そこからは対照的に完全に俺の趣味の世界。 大きく開け放たれた窓と、これでもかというくらいにライトアップされた室内。 激しいビートを刻む洋楽がオーディオから吐き出され、統一感のない室内を不規則に揺らしている。 .
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