戦いの夜明け

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艦内移動中、スプリューアンスはキョロキョロとあたりを見回していた。 会議室に両者着席する。 「で、ご用件は?」 諸星が尋ねる。 「私が参った理由は我が方の要望をお伝えしにきたのです。」 スプリューアンスは無表情で答えた。 「伺いましょう。」 「まず一つは救助者を受け入れていただきたい。二つ目に後方の上陸部隊の輸送船団への撤退指示を貴艦の通信設備で行いたい。最後に、これより我々は輸送船団に合流する予定です。しかし、輸送船団には駆逐艦のみの護衛です。帰投中の無益な攻撃を阻止する意味も含め、あなた方の護衛を要請したい。」 暫時の沈黙の後、 「いや、私が考えてる事と全く同じであります。」 今まで聞き役であった小澤長官が話した。 「全条件を承諾いたします。な、諸星司令?」 「慎んで護衛をさせていただきます。」 諸星も答えた。 「我々から提案なのですが輸送船団合流後の円滑な帰投のため我が艦隊の指揮権を貴官にお貸ししましょう。」 小澤は微笑しながら言った。 「ははは。では、我々はスプリューアンス司令の部下になれるのでありますか?光栄でありますな!」 諸星は笑った。 「貴官らは私が艦隊を悪用する事を考えないのでありますか?」 スプリューアンスは唖然とした。 「降伏という武人として最大の屈辱をあえて決断した提督に全幅の信頼と敬意を寄せています。」 小澤が言い、諸星と共に頷いた。 「私は今、日本軍の本当の姿を知りました。特別な配慮、ほんとに感謝します。」 スプリューアンスは手をさしのべ、両雄固く握手した。
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