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「次期作戦では艦隊護衛に4隻配備するつもりだ。」山本は言った。
「武装は何です?」諸星が聞く。
「対艦魚雷は無いですが、銀河に搭載していた追尾魚雷を12本。主砲は仰角75度まで可能になり、電探連動です。対空火器も電探連動で、これは試験的ですが28連装噴進弾に熱線追尾を追加した物を乗っけています。」
軍令部からの資料を見ながら井上は説明した。
「それは心強い艦だ。」
山口が言った。
「ところで諸君に頼みたいことがある。」
山本は改まった口調で話す。
三人は山本を見た。
「情報部と外務省からの連絡では、ドイツは英国の南部を占領し、ソ連との和解も成立したようだ。アメリカは今後、大西洋艦隊を欧州に派遣するらしいのだが、ドイツ側は三日前から新鋭の機動部隊をインドに向けて出撃させたようだ。」
大臣室は沈黙した。
山本は続けた。
「地中海でイタリア艦隊も合流した報告もある。インド海域にはあと、2週間ぐらいで到達する。我々はイギリスの要請により、インド洋と大東亜諸国の防衛の為、君たちの出撃を命令する。」
「早速来ましたか…」
小澤がため息混じりに言った。
「機動部隊ということは空母がいるのですか?」
と山口
「左様。フランスの海軍技術を徴発して建造した中型空母が二隻あるそうだ。」山本が答える。
「しかし、艦上機はあるのでしょうか?空軍が海軍航空隊設立に反対だと聞いています。」山口がさらに質問した。
「総統の鶴の一声だと思われます。」井上が答えた。
「二週間ということは今週中には出撃しなければなりませんな。」小澤が厳しい顔で言う。
「大変だろうが補給修繕を急いでくれ。」山本が三人に言った。
「はっ。」
こうして、4年にも及んだ日米対戦は終了した。これが正しい判断か否かは、後世が決めることだろう。
東洋の旭日は、欧州の黒い太陽と戦うべくインド洋へと向かった…。
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