73人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
烈風の戦果は、後方の武蔵にも伝わった。
「損害が少ないのはなによりだ…」
長官の小澤は安堵する。
「山口君は結果主義ですから、まだまだやってくれるでしょう。
」
参謀長は言った。
「まあ、あまり無理をしないといいがね…」
「長官。電探にこちらに向かう飛行隊を確認。目視まで後、30分です。」
「敵は空母を二分したようだな…」
「参謀長。全艦に下命対空戦闘用意」
「は、対空戦闘用意!」
武蔵は陣形を円陣にする事を伝えて速力を上げた…。
「おい。何か見えるか?」
米攻撃隊長が機長に言った。
「いえ…今は…隊長!航跡多数視認!」
「おージャップの艦隊だ!隊長機から全機へ!攻撃態勢を取れ!」
爆撃・雷撃機計40機が一斉に襲いかかった。
「左40度雷撃機4!」
武蔵の見張り員が叫ぶ。
「副砲左舷撃ち方始め!」
「前方2000急降下!」
「主砲三式弾撃てー」
「射ー!」
ドーーーン!
武蔵・大和・長門の前方三艦が迫る急降下爆撃機に発砲。三式弾の弾幕を張る。
「おい!敵一・二番艦は新型戦艦だ。最高の獲物だ。皆いくぞ!」
隊長機は檄を飛ばす。
左右と上空から来る攻撃機に全砲門で打ち落としていく。
「雷撃機1!」
「高角・機銃撃てー」
ダダダダダ!
「撃墜確…いえ!雷跡視認!」
撃墜寸前に投下された魚雷は大和に向かって突進する。
「回避運動。取舵一杯!」
大和は右に船体を傾けながら取舵する。魚雷は回避に成功した。
しかし、隙をついて「急降下!」投下された爆弾は第二主砲に直撃した。
「ピュン」と金属音の後、右舷に水柱がたった。650㎜装甲を使っている主砲は爆弾を跳ね返したのだ。そこの塗装ははげてしまったが…。
「両舷対空火器応ぜよ!」
ダダダダターカタカタカタカー
全艦、発射音で会話もできない。その中でまさに怒鳴りながら命令が飛び交った…。二十分後、攻撃機は帰投していった。
「偵察機を出せ!後を追わせてわかり次第機動部隊に通告しろ。」
「は。水偵射出せよ!」
全艦から水偵が射出され、索敵を開始した。
最初のコメントを投稿しよう!