哀しみ

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「…………」 教室で一人僕はうずくまり 「どうして、あんな事が起きたのか…」 鈴は大丈夫だろうか。 今すぐ容態を見に行きたい。けど… 「先生!」 「ん?なんだ直枝?」 「僕、保健室行ってきます!」 立ち上がり僕は走り出した。 鈴…… 保健室に行くと真人と、その横に体格のでかい男子生徒がいた。 「理樹、鈴は…まだ気絶している……」 真人は顔を逸らして 打ち所が悪かったのか鈴は頭に包帯、腕に包帯と痛そうだ 「だいたい、いつもなら避けたりする棗さんが避けないなんて…」 男子生徒は呟いた瞬間真人が、衿を掴み言った 「てめぇ!!あんないきなりに来たら避けられるもんも避けられねえだろ!」 真人は男子生徒の顔を思い切り殴った 「真人!」 「理樹、悔しくないのかよ…この野郎…侮辱してんだぜ……」 真人は怒りに身を任せたままだ 「だ、だから悪かったって!」 必死に謝る男子生徒だが、真人は許す気などなかった。 「死ぬ覚悟出来てんだろうな!!」 真人は拳を上げたその時 「あの…!」 この声は、鈴の声!僕は振り向いた… 「あの…」 鈴が立っていた。 「鈴!大丈夫なの!?」 僕は駆け寄って 「私は大丈夫ですけど、あの二人…」 鈴が真人達を指差し 「ううん、ちょっともめてるだけだから」 真人は拳を下ろし 「鈴……お前…」 真人は生徒を離し鈴に歩いていき 「お前…俺が誰かわかるか?」 鈴はふるふると首を振った…… 「まさか、何も覚えてないの…?」 鈴に尋ねた 鈴は頷いた 「そん…な……」 僕は膝を付き、泣き叫んだ。 今までの記憶が一瞬で、消え去ったのか…… 僕は頬をつねった。痛い。これは現実。本当にあった事なんだ…… つまり鈴が記憶喪失になった…これが哀しみの始まりだ…
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