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「おい、起きろ!」
気を取り直してジンギは、しゃがみこむと近藤の頬を叩く。少しすると、「う……」とうめきながら近藤はすぐに目を覚ました。
「よお、目が覚めたみたいだな」
「うおぉ!」
目が覚めた近藤が二人を見ると驚き後ずさりした。
「お前さっき言ってたよな、勝ったら事件のこと話すって。さっきのもう一発食らいたくなかったらさっさと話せ!」
「わわわ、わかった! は、話すけどよぉ……。俺、本当は何も知らねえんだ! 昨日の事件だって、俺がやったもんじゃねえんだ!」
先ほどまでの強気な態度はどこへ行ったしまったのか。ジンギの攻撃がよっぽどトラウマになったのだろう。おびえながら近藤は事件の関与を否定し始めた。
しかしジンギにとってその返答は納得できるものではない。
「あぁ!? この期に及んで嘘をつくんじゃねえよ!」
「嘘じゃねえ! リングだって昨日の夜にコンビニ行った帰りで、変なおっさんに渡されたものだし、力を人に使ったのはお前が初めてだ!」
「……ジンギ。こいつの言ってること、マジなんじゃない?」
泣きださんばかりの様子で喋る近藤を見ながら、サキはジンギの耳元でささやく。ジンギだって、ここまで必死そうな人が言う言葉が嘘だとは思えなかった。
「……マジかよ」
二人目の候補者を倒したジンギであったが、その結果はさらなる候補者の存在を浮き彫りにしただけであった。
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