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「最悪だ……」
体育館の裏で、ジンギは一人、四つん這いになってうなだれていた。
犯人だと確信していた中岡が戦いとは全くの無関係であったというショックもそうなのだが、何より竹田に踊らされ、自分ひとりでシリアスな雰囲気を作ろうとしていたという恥ずかしさが最大の原因だった。
因みにあの後中岡は、ブルーレイディスクに保存したザンバルザーを見るためにと帰って行った。ジンギも一緒に見ないかと誘われたが断った。
「……い、いやいや。今はこんな所で凹んでる場合じゃない!」
辛い気持ちを押し殺してジンギは立ち上がる。
中岡が犯人じゃなかったのだとしても、ユーホが危険な目に遭ってる可能性が高いことには変わりないのだ。むしろ中岡が犯人でなかったということで、手掛かりがなくなってしまったわけでもある。うなだれている時間などない。
「アハハハハ!」
だが後ろから聞こえてきた笑い声によって、再びジンギの心は折れ、その場に崩れ込んだ。
「……サキさん。やめてください」
「あー、ごめんごめん。だってあんたさっき、メチャメチャ痛い人になってたんだもん。おかしくってさ」
ジンギがうずくまったまま言うと、物陰からサキが現れた。それを見てジンギは頭をかきむしりながらまた立ち上がる。
「うるせえ畜生! もういい! 今はお前に一々ツッコミ入れてる場合じゃねえんだ。協力してくれ」
「協力って何を? そもそも、あんた何でさっきの奴と戦おうとしてたの? 勘違いだったとはいえ、候補者のつもりで話してたんでしょ?」
「俺の友達がピンチなんだ。だから事件を起こし続けてる犯人を探している」
ジンギがそう言うと、しばらくサキは何も言わないままじっとジンギのことを見ていた。真剣でまっすぐな彼の眼差し。やがて「ふーん」と呟くとともに少し嬉しそうな表情を見せた。
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