5章 思い出話と約束事

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「あー……くそ……」  そこでジンギが立ち上がった。今の攻撃のうち、特に腹へのダメージが大きかったのか、片手で腹を押さえている。  そのせいでもう片方の手だけで立ち上がることになり、その動作はのろのろと緩慢であった。  ただ、こんなにもジンギは隙だらけであったが、桐野が追撃を仕掛けてくる様子はなかった。ジッとジンギが立ち上がるのを見つめ、腰に手を当てつつため息をついた。 「吠え面かくな云々言いだすものだから、期待したんだけどねのね。はっきり言わしてもらうよのよ。お前は弱いぞのぞ」 「……あ?」  ジンギに向けて指を差し、述べる桐野に、ジンギは低い声で反応した。明らかに桐野の言葉が気に障った、という様子だ。  ジンギ自身、戦いに対して色々と思うことはあるが、少なくてもジンギはこれまで3人の神の候補者と戦い、そしてその戦いの全てに勝ってきた実績がある。そんな自分が、「弱い」と評価される。それは、彼にとって心外であるのだろう。 「聞こえなかったわけじゃないよなのな? このままなら、神器なんて必要ないって言ってるんだよのよ」 「…………そうか」  やや沈黙を挟み、ジンギは口を開く。スコップを握る手を持ち替え、地面に突き刺した。 「――だったら、てめえが神器を使う前に潰してやるよ!」 「む?」  そこで桐野はようやくジンギが何か行動を起こそうとしているのに気づいた。しかしもう遅かった。ジンギは腕に力を込め、スコップで地面を掘り返す。 「【ディグ】!!」  スコップが金具の部分で地面を持ち上げると、その先で巨大な光の塊が生み出される。  次の瞬間には光の塊は桐野に向かって、地面を削りながら放たれた。 「おお?」  明らかなまでの強力な攻撃技。桐野はそれを目にして初めて驚いた表情を見せる。彼がそうしている間にもディグの光は高速で接近し、やがて彼を飲みこんだ。
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