それは突然訪れる。

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 スッと差し出される一枚の紙。  黙って凝視する俺。  うん、白紙。  目の前にいるのは担任で、担任は俺を凝視し、俺は紙を凝視。  進路希望調査。  中学三年生である俺が担任から呼び出される事といえば、こんなもんだろ。  何かに焦るかのように、志望校がどうとか、オープンキャンパスがどうとか、すっかり進路モードな周囲に溶け込めずに、密度の薄い毎日を過ごしていた。  それでも、時間が解決してくれる。なんとかしてくれるんじゃないか? などと安直な考えに走って、現実逃避。  進路ねぇ。  再度目の前にある進路希望調査の紙を眺める。  ――はぁ。  何やってんだ、俺。  帰りたい。  ゲームしたい。  寝たい。
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