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昔ある村で毎年赤ん坊の出生数を調査した記録がある
それとは別に村の中でコウノトリの巣の数を調査した記録もある
この二つの記録は驚くほど似通っており統計学的にも相関関係の強い事が分かった
これは一体どういう事なのか?昔からの俗説通りコウノトリが赤ん坊を運んでくるというのは正しいのだろうか?少なくとも数字の上ではこの俗説を否定する事は出来ない
実はこれは数字のトリックであり統計学の例題としてしばしば引用される有名な実話の一つだ…もちろんコウノトリが赤ん坊を運んでくるのではない
コウノトリの巣というのは民家の屋根に作られる
この村は都市部のベッドタウンとして発展し若い働き盛りの世帯が流入して次々に新しい家が建てられて行った…家が増えたのでコウノトリの巣も増えた
そして世帯数が増えた事によって赤ん坊の出生数も増えた
コウノトリの巣と赤ん坊の出生数との間に相関関係はあっても因果関係はない…どちらか一方が増えた事によってもう一方も増えたのではなく他の要因によって両方ともが増えただけ
この様に限定されたデータだけで全てを判断しようとすると本質を見誤り間違った結論にたどり着く事がある…この例の場合は常識で考えておかしいと気づくだろうが場合によっては専門知識が邪魔をして常識が無視される事もよくある
データはデータとして過小評価も過大評価もせずデータの向こう側にある本質を考察する事が重要になる
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