闇夜の京にて

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家からも程近く、毎年夏にここで開かれる「古本まつり」と初詣に訪れているわけですから、間違えるはずがありません。 ということは先程通ってきたのは糺の森だったのでしょう。 大丈夫。知っている場所。 まっすぐ進むと本堂があり、私は五円玉を賽銭箱に納めると鈴を鳴らし手を合わせました。 どうか、どうか私が居るのはいつもの京都でありますように。 暫くの間そこで願っていますと少し肌寒くなってきました。 ここは知っている場所だけに少し離れづらいですが、先程見てしまった風景を確かめないわけにはいきません。 ざわざわと木々が行きなさいと騒ぎ立てます。 私はまた鳥居をくぐり、糺の森を抜けて外に出ようと走り出しました。
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