第一話 始まりは喧騒とともに

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ピピピピピーーーーーーー 枕元に置いた携帯のアラームがけたたましい音を発している。毛布に顔を埋めたまま、手を伸ばして携帯を探す。春になったとはいってもまだ空気は俺の起床を妨げるのには充分過ぎるほどに冷たく張り詰めている。 ピッ。ようやく静かになった。なんて安心したのもつかの間、ディスプレイに表示された時計を見て俺は飛び起きた。 やばい、やばい。完全に寝過ごしてしまったようだ。昨日やっとテストが終わったばかりだからだろうか。さすがにテスト後の翌日に寝坊なんてありきたり過ぎてまずいよな。そう思い、即座に布団から抜け出すと、部屋のドアにかけてあるワイシャツと学ランをひっつかみ急いでそれを纏い始める。クローゼットの鏡を前に同時進行で鞄に教科書類も詰めていく。 そこまで来て初めて、俺はようやくその変化に気が付いた。
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