第二話 悲嘆の転換

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「いや~、やっぱり、一日の最後はビールに限るよな!!」 そう言ってハッハッハ!とグラスを片手に笑い飛ばす親父。そしてその前の席で同じように、 「や~ね、お父さんったら。ほどほどにしないと早死にしちゃうわよ~。ほら、和哉も言ってあげてよ~。」 と、手を口に当てて笑っているお袋。 「なにを!?まだまだこれからだぞ~!?」 ・・・勘弁してくれ。明らかに会話が不自然じゃないか。いつもこんなテンションじゃないだろうに。 あからさまに、気を使ってるのがバレバレだ。なんか、逆に意識してしまってちっともありがたくない。まあ、うれしくない訳じゃないけど・・・ 現在俺たち家族はテーブルについて夕食の最中だ。食はあまり進まない。まあ、原因は明らかだ。先ほど風呂に入ろうとして、初めて直に、変わってしまった自分の姿を見てしまったからだ。別の状況でなら、喜ぶべきところなのかもしれないけれど、どういう訳か、微塵もそう言った感情はわかなかった。・・・いや、むしろ現実を突きつけられた感じがしてまたがっくりしてしまった。 「どうした、和哉?そんな顔して。あんまり気にするな?今の段階でなにも悩むことなんてないじゃないか?今日だってうまいこと話は決まっただろう。」 見かねたのか、親父が話しかけてきた。 「別に落ち込んでなんか・・・。」
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