201人が本棚に入れています
本棚に追加
抵抗しなくなった女。
まるで魂がここに在らずの状態。
唯一彼女自身がいると感じられるのは
彼女が腰を引かれながらも自分で歩いているということ。
なぜ抵抗を止めた?
諦めた?
男に適わないから?
抵抗はただの素振りだったのか?
――――――
俺はラブホで情事を済ますと、彼女に別れを告げられた。
俺はプライドが許さなかったのか「あっそう」とだけ言い、金を置いて部屋を出た。
独りになり、ラブホ街をとぼとぼ歩く。
不意に目についた一組のカップル。
まさに冒頭の男女。
初めは抵抗していた女。
だけど急に気力をなくした。
「……カップルにしては珍しいな」
彼女の表情は決して喜んでいるようには見えない。
むしろ嫌そうな……諦めてるような……。
そんなとき、彼女と目が合った。
一瞬ビクリとして、すぐさま俺に助けを求めるように見てきた。
……そいつ彼氏じゃねぇの?
嫌ならなんでこんなとこに来た?
俺はどうするかも考えずに2人の元まで早歩きで向かった。
.
最初のコメントを投稿しよう!