第1章 奇妙な取引

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ケチのつき始めは、会社の先輩、美貴(みき)さんに目をつけられたこと。 入社した直後から、美貴さんは、隠れたところで、何かとあたしをイジメてた。 ううん、美貴さんだけじゃない。 総務課の女子全員から、毎日、陰湿なイジメを受けていた。 それでも、我慢できたのは、三つ上のエリート社員、邦彦さんがいたから。 邦彦さんとは、入社して3ケ月後くらいにつきあい始めたんだけど。 美貴さんも、邦彦さんのことが好きだったみたいで。 邦彦さんとつきあい始めてから、美貴さんのイジメはますます激しくなった。 総務課の女子全員からイジメられるのは辛かったけど、男性社員はみんな優しかったし。 何よりも、会社には邦彦さんがいたから。 邦彦さんのさわやかな笑顔を見ると、嫌なことも吹っ飛んじゃって。 明日からまたがんばろうって、そう思えたのに。 あたしは、またため息をついた。
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