エピローグ

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……え……? …まさか、妬いてるの……? 「も、もらいましたけど」 らしくない純希の表情に戸惑って、あたしは狼狽気味に目を伏せた。 「でも、だいぶ前のことです」 「そうか」 純希は、素っ気なく言った。 それきり、うんともすんとも言わないので、上目遣いに純希の顔を見ると、不機嫌そうな表情でそっぽをむいている。 何だかおかしくなって、あたしはクスリと笑った。 「何がおかしい」 純希がじろりとあたしを睨む。 「いえ、別に」 あたしは、すまして言った。 いつも、純希にふりまわされているのだ。 たまにはこんな風に、あたしが主導権を握るのも悪くない。 ふと、傍目(はため)には、あたしたちはどんな風に見えるのだろうと思った。 純希はすらりと背が高く、ショートカットで中性的だ。 仕事でもプライベートでも、パンツルックしか着ない。 一見して、純希を女性だと見抜く人は少ないだろう。 あたしたち、普通のカップルに見えるのかな。 「寒くないか?」 純希が、あたしの肩を抱き寄せた。 あたしを気遣かってというより、自分がそうしたいからした、という風に見える。 でも、何でもいい。 あたしも、純希とこうしていたいから。 「ええ」 つぶやくように言って、あたしは純希の肩にちょこんと頭を乗せた。 薫風が、あたしの髪をなぶって通り過ぎる。 甘やかな恋情が胸にあふれるのを感じながら、あたしはうっとりと目を閉じた。 THE END
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