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次の日の放課後、先生に頼まれて私は図書室の戸締まりをしていた。
少し薄暗くて不気味。
おまけに昼休みの賑やかさが嘘みたいに静まり返っている。
‥‥‥早く終えて帰ろう。
そう思って一番奥の本棚の横にある窓を閉めようとしたその時、誰も座っているはずのない椅子に座っている人影が見えた
「‥‥っ!!!」
思わず声にならない声を上げる。
だっ‥誰!?
その声に反応してゆっくりと瞳を開け、こちらに目を向けるその人影。
「ん‥あれ‥‥?ここは‥‥‥」
一瞬胸がドキッとする。
あの彼だ‥‥‥。
「あ‥いや、その‥‥‥‥」
私が言葉に詰まっていると彼は、
「‥‥‥あぁ、寝ちゃってたんだ俺‥‥うっわ、もうこんな時間だしっ」
時計を見て慌て出す。
「あの‥私、戸締まりしに来て‥ただそれだけで‥起こそうとした訳ではなく‥‥」
「‥あぁ、ごめんね邪魔しちゃって。‥‥えっと、沢村さん‥だよね?」
「えっ‥何で私の名前‥‥」
「知ってるよ、毎日図書室に居るでしょ?」
「あ、はい‥図書委員なので‥‥‥」
放課後の図書室に男の子と2人きり。慣れないシチュエーションに私は変に戸惑ってしまう。
しかもよりによって彼。
「てか沢村さんっていつも本読んでるよね~俺ら来てると図書室うるさくなるから困ってたりしない?」
「いっ、いえ!!全く!!!むしろあの賑やかさも好きで‥‥」
言ってから"しまった"と思った。
これじゃあ遠回しに彼に好きだと言っているように聞こえなくもないだろう。
「あははっ、なら良かった。また明日もここに遊びに来ていいってことだよね?」
突然向けられた笑顔に不惑にも胸が高鳴る。
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