序章-3

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「俺とお前はよ、長い付き合いだが今まで1度も喧嘩なんてしたこと無いよな。喧嘩する程仲が良い、なんて言うけどさ、喧嘩なんてしなくたって仲良くはなれるよな。少なくとも俺はそう思う。だからこれからもよろしくな。」 佑は珍しく無邪気な笑顔を見せた。 しかし、その言葉は別れの言葉の様に聞こえ、悲しみが襲ってきた。だがそれと同時に悲しみとは別に、嬉しさもあった。 その2つは涙となって込み上げてきた。片方の目からは嬉しさの涙、もう片方からは悲しみの涙が出ている気がした。 それに気付き、佑は焦る様に言った。 「ちょ、何泣いてるんだよ!別に永遠のさよならを言ってるんじゃないんだからよ!」 「わかってる、わかってるけどよ~、今言う言葉かよ~。でも俺、嬉しくて、悲しくて、自分でもなんで泣いてんのかわかんなくて。」 涙を流しながら佑を抱き締める俊は「これからもよろしくな、よろしくな」と言い、それに佑は「わかった、わかった」と受け応えていた。 その2人の様子を絵理は微笑み、見ていた。 -ウチのリーダーはよくこんな最高なタッグを見つけたわね。すこし見直したかも。 そう思いつつ、絵里は2人に向かってこう言った。 「2人共、命の保証はしてあげるから、私を絶対に信頼して。そしてマイナスな事を言わない、考えない。良いわね?じゃあそろそろ行くわよ。」 「はい。でもその前に作戦を確認して良いですか?」 「えぇ、良いわよ。」 そう言い、俊は作戦の流れを確認し始めた。 「えっとまず俺がここで一発撃つ。そうしたらここら辺にいる人の殆どが逃げる。半分くらいいなくなったらこの警官の後ろに隠れて外に出る。そしたら相手が撃ってくるだろうから、その時に佑が敵の大まかな方角と距離を伝える。あとは距離によって作戦変更の可能性あり、でしたよね?」 「そうね、合ってるわ。完璧よ。」 会話が終わると早速個別に最終作業を開始した。 俊は警官の額の血を綺麗に拭き取り、動かす練習を。 絵里は自分の銃と俊が使うエアウェイトの点検を。 佑は何やら糸電話の様な物を作っていた。 「じゃあ俊君、佑君、準備は良い?」 「「はい!」」 「2人共声が揃っててよろしい。じゃあ俊君、よろしくね。」 そう言い俊にエアウェイトを手渡した。 その銃は警官のホルスターから取り出した時より綺麗になっていた。 それを受け取るとそれぞれ持ち場に着いた 「じゃあやります…!」
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