序章-3

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「…わりぃ。絵理さん、これからどうします? 相手はかなり腕が立つらしいですが…」 「そうね…それにやっぱり敵は2人以上いる可能性が高いわ。」 それに同調して佑が付け加えた。 「うん。悲鳴で正確には聞き取れなかったけど、初弾から一拍遅れて別の場所から聞こえた気がする。」 それを聞き絵理は肩を落した。 「私、これでも“多分”とか“かもしれない”とかって言葉、あんまり好きじゃないのよ。でもこの状況じゃ仕方ないかも。」 そう言うと絵理は考える素振りを見せてからこう言った。 「仕方ないから私が今考えた作戦を言うわ。矛盾とか意見とかあったら指摘して。」 「はい。」 「じゃあまず今の状況からね。皆がこちらを見てる。注目の的ね。これじゃまた人が集まってきちゃうわ。この状況を打開するにはどうすれば良いと思う?」 その質問には俊が答えた。 「また銃を撃ったらどうですか?そうすればまたどいてくれるかも。あ、覆面とかすれば効果アリかもしれないです。」 その言葉に絵理は溜息をつき、こう説明した 「じゃあ、君は機関銃が付いてる門を弾が4発しかない銃で門を破る?それも2発目を無駄にして。」 「それは…」 短い返答だったが、俊は黙ってしまった。 彼女は俊にわかる様にしたのだろう。 詳しく説明すると、機関銃をスナイパーに、門を交番の前にいる人々に見立てたのだろう。 機関銃は一つしか見えないが、その近くに2~3まだあるかもしれない。 そんな門の前に立ち、開けるように一発撃つ。 しかし開けてもらったところで、真正面から蜂の巣にされるだけ。 そう例えたのである。 俊は悔しそうにしていた。 彼女もここで死ぬものかと“ちゃんと”思っていた。 -私もこんな場所で死ぬ訳にはいかないわ。まだあれも完成してないし。でもおかしいわね…彼はもしかしたら“病気持ち”なのかしら… そこでハッと思い出したかの様に言った 「いけない、つい考え込んじゃった。佑君は何か意見ある?」 「はい、一応考えたんですけど、自分でも成功するかどうか…それと聞きたい事があるんですが、相武高校ってちゃんと科に分れてるんですよね? だったらなんで仲間の救援呼ばないんですか?」 その言葉を聞き、絵理は何かに殴られたんじゃないか、というような反応をした。 「え、えっとね、今は皆任務に行ってるの!そう、任務!だから誰も今は…」 その時、絵理の携帯に電話がかかって来た。絵理はかけて来た人物を見てから恐る恐る電話に出た。
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