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現在位置-東京/相武高校門前
現時刻-20:37
相武高校の校門には1人の女性が立っていた。その女性は美女であった。
メガネを掛け、短くカットされている髪。胸元は大きく露出しており、その胸元には銀色に光る十字のネックレスが目を魅く。
「5、4、3、2、1」
「着いたぁ!ギリッギリだけど間に合ったぁ!」
女性は侮蔑的な目で目の前の女子を見下した。
目の前の女性は菊地絵理。相武高校1年A組。射撃の腕は校内上位だが、筆記テストに全く参加しないため、成績はあまり良くない。
今も成績を落すところだった。
「まぁ良い。取り敢えず1km5分は合格。でも本番はこれからだ。取り敢えず結城俊は私と、萩原佑はそいつに情報科まで連れてってもらいな。」
そう言って、女性は歩き出した。
「ちょっ、ちょっと待ってください、まだ自己…」
女性は俊を睨み付けた。
その時、俊は命の危機を感じた。ほんの一瞬だったが、例の“持病”も出かけた。
「チッ、私は桐生和美(きりゅう かずみ)。ここの職員だ。行くぞ。」
「あの、えっと俺は…」
和美は溜息をして俊の言葉を遮った。
「結城俊。北中3年1組。射撃のセンスは他の追随を許さない程の実力の持ち主。だが戦車や戦闘機、勉学その他の知識はあまり無い。と、こんなところか。修正がなければ、黙ってとっとと行くぞ。」
そう言うと和美はスタスタと先へ進んで行った。
外はすでに暗くなっていたが、相武高校は明るかった。もうすぐ21時になるが、職員室前を通ると、キーボードを打つ音、先程まで聞いていた銃声が聞こえてきた。
「あ、あの~一つ良いですか?」
「手短に済ませろ。」
「はい、これから何処行くんですか?」
「チッ、そんな質問か。ちゃんと着いて来れば分かる。だから黙れ。有るものも無くすぞ。」
和美が言った言葉は「推薦してやってるんだから黙ってろ。さもなくば推薦取り消すぞ。」そういう意味なのだろう。
しかし相変わらず凄い物言いに俊は怯えていた。
-なんでこの先生は新人にもこんなんなんだ?普通もっと優しいだろ
俊はこの考えは甘えなのだと分かっていたものの、今ごくごく一般的な中学校に通っている俊はその考えにすがるしか無かった。
それに相手は美人の為、外と中身の差が激しい。人は外見で選んではいけないと言うが、彼女は正にその典型的人物だろう。
そんな事を思っていると、金庫の様な堅牢な扉の前で立ち止まった。
「ここですか?」
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