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しかし、彼女は教え子になるであろう人物に何のためらいも無く発砲し、銃口を当てているのである。それもスイカ粉砕銃を。
「す…すいません…でした。」
生きた心地がしなかった。
俊は勿論の事、デザートイーグルの凶悪さを知っていた。
象や熊を一撃で殺すと謳われるS&W M500や、アンチマテリアルライフル(対戦車銃)で有名なバレットライフルに威力では到底及ばないが、やはり目の前にあるという迫力だけでも圧倒される。更に所持者が所持者である。本気で撃ち兼ねない。
ピリピリした空気を肌で感じている俊は、大人しく“命令”を聞くことにした。
すると和美はそのことを察したのか、銃を降ろした。
「とっとと服従しとけばいいものを。テメェのお陰で弾が一発減った。あとで金払えよ。」
「わかりました…。」
俊は完全に沈んでいた。まさか“学校見学”でここまで罵倒されるとは誰も思わない。さらに追い討ちを掛けるが如く「服従」だの「金払え」だの言われたら誰でも沈む。そして俊には思う事がもう一つ。
-この状況で実力出せなかったら、殺されるよな?この状態で、本気…。
そんな俊の心情を知ってか知らずか、和美が口を開いた。
「じゃあ、ハンドガンから始めろ。ハンドガンなら好きなのを使って良い。銃は購買部のをレンタルしろ。話は通してある。5分で戻って来い。スタート。」
そう言うと、和美は手を叩き、時計を見た。
俊は和美が手を鳴らしたのと同時に走っていた。実際、自分でも驚いている。“火事場の馬鹿力”というやつだろう。
全力疾走して購買部の前に来ると、ハンドガンが壁に無いか探した。
無い。
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