序章-4

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「すいません、M93R貸して下さい!」 そう店員に告げると、カウンターの下からスッとベレッタM93Rを差し出してきた。“ストックとフラッシュハイダー無しで” 普通M93Rと言うと、3点バーストである事と、命中率向上の為にストックが付属する。フラッシュハイダーは弾を発射した時に起こるマズルフラッシュ(銃口から出る小爆発)を逃がし易くし、発射した時の反動を減らす。というもの。 しかし、今受け取った銃にはそれらが無かった。トリガーガードの前にグリップはあったが、最低でもストックが無い限り、命中率はそこまで上がらない。 「ストックとフラッシュハイダーは無いんですか?」 「はい、桐生先生がストックとフラッシュハイダー、スコープ、ダットサイトが取り外せる銃は全て外せ。と言われているもので。」 そう言って、店員はニコリと微笑みながらお辞儀をした。 「だったらグロック18を貸して下さい!」 俊は焦り始めていた。すっかり5分で戻れという命令を忘れていたのだ。 店員にグロック18を手渡されると、M93Rをカウンターに置き、また走り出した。 -大丈夫。流石にセレクターは外さなかったみたいだな。 あと数mの所に扉がある。あの扉の向こうでは和美がカウントダウンでもしているのだろう。 実際、購買部から扉までの距離は5、6m程度だろう。しかし、今はその距離が500mにも600mにも思えて仕方なかった。 あと2m、1m バン ガスッ 扉に突進する様に開けると、勢い余ってそのまま床に顔面から落ちた。-落ちる前に頭上を蹴られた。 「残り0秒01。テメェはボンクラな上に鈍足か。」 そう言い捨てると、和美は目を俊の手元にやった。 「ほう、G18を選んだか。そこは褒めてやろう。褒美として一つ言うと、その銃はノーマルマガジンであって、ロングマガジンじゃないからな。」 そう言われ、俊はグロック18を見た。たしかにロングマガジンではない。これだとフルオートで撃てばものの3秒程度で撃ち切るかもしれない。 「それじゃ、ルールを説明する。次々現われるターゲットを3分以内でどれだけ倒せるか、また、正確に撃ち抜いたかの総合ポイント。それを見る。ただそれだけだ。それとターゲットの頭部、心臓部には黒点が打ってある。そこを正確に撃てればポイントは大幅に上がる。何か質問はあるか。」
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