序章-3

3/11
前へ
/81ページ
次へ
現在位置-東京/某公立公園 現時刻-16:40 とある公園に着いた3人は一時休憩を取る事にした。 俊と佑はかなり息が荒くなっていた。 「ハアハアハア、もう追って来ないのか?」 「多分まだ追って来るわ。 どこかに立て籠もれば…」 「ところで関係無いんだけどさ、さっきの銃は何? SIG/P226ともガバメントとも見えたけど。」 女性は驚く素振りも見せずにほんの一瞬微笑み、答えた。 「そうね。こんな銃は存在しない。世界で一挺しかね。名前もまだ無い銃よ。」 その言葉に俊は酷く驚いた様な顔をした。 「あなたは本当に何者…」 そこまで言うと、女性が佑の唇に指を当て、制止した。 「レディの事はあまり詮索しないこと。深追いすると火傷するわよ。 さて、駄弁ったところでそろそろ行かなきゃまずいかもね。 どこか匿ってくれそうな場所、ないかしら?」 「じゃあ俺の家はどうですか?」 「いや、駄目ね。もしまた銃撃戦にでもなったら弁償なんて出来ない。」 「じゃあ学校はどうですか。」 息を整えた佑が言った。 「いいえ、そこも駄目。 学校はPTAから銃を持つなと言われてるわ。もし私達が学校に行ったら私の銃も没収されるでしょうね。」 「あ…忘れてた。でもそんな情報どこで手に入れたんですか?僕は警視庁のPCに侵入したんですけど…。」 佑は以前とあるプログラムを作り出し、その功績を称えられ、所謂“善玉ハッカー”という仕事を与えられた。その時に警察の裏の情報を持ち出したのである。 「そうね。だって私はこの国の様に“普通”じゃないから。 さて、そろそろ行かなきゃ本当にまずいわね。 取り敢えず交番にでも行きましょう。」 「「はい」」 俊と佑は幼馴染みで、大体考える事は同じ事が多かったりする。 やはりこの時も同じ事を考えていた。 -警察なんて役に立ちやしない。そのまままた危ない目に遭うだけだ…。 しかし2人とも決して抗議したりはしなかった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加