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現在位置-東京/某公立公園
現時刻-16:40
とある公園に着いた3人は一時休憩を取る事にした。
俊と佑はかなり息が荒くなっていた。
「ハアハアハア、もう追って来ないのか?」
「多分まだ追って来るわ。
どこかに立て籠もれば…」
「ところで関係無いんだけどさ、さっきの銃は何? SIG/P226ともガバメントとも見えたけど。」
女性は驚く素振りも見せずにほんの一瞬微笑み、答えた。
「そうね。こんな銃は存在しない。世界で一挺しかね。名前もまだ無い銃よ。」
その言葉に俊は酷く驚いた様な顔をした。
「あなたは本当に何者…」
そこまで言うと、女性が佑の唇に指を当て、制止した。
「レディの事はあまり詮索しないこと。深追いすると火傷するわよ。
さて、駄弁ったところでそろそろ行かなきゃまずいかもね。
どこか匿ってくれそうな場所、ないかしら?」
「じゃあ俺の家はどうですか?」
「いや、駄目ね。もしまた銃撃戦にでもなったら弁償なんて出来ない。」
「じゃあ学校はどうですか。」
息を整えた佑が言った。
「いいえ、そこも駄目。
学校はPTAから銃を持つなと言われてるわ。もし私達が学校に行ったら私の銃も没収されるでしょうね。」
「あ…忘れてた。でもそんな情報どこで手に入れたんですか?僕は警視庁のPCに侵入したんですけど…。」
佑は以前とあるプログラムを作り出し、その功績を称えられ、所謂“善玉ハッカー”という仕事を与えられた。その時に警察の裏の情報を持ち出したのである。
「そうね。だって私はこの国の様に“普通”じゃないから。
さて、そろそろ行かなきゃ本当にまずいわね。
取り敢えず交番にでも行きましょう。」
「「はい」」
俊と佑は幼馴染みで、大体考える事は同じ事が多かったりする。
やはりこの時も同じ事を考えていた。
-警察なんて役に立ちやしない。そのまままた危ない目に遭うだけだ…。
しかし2人とも決して抗議したりはしなかった。
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