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「そうね。じゃあこれも教えちゃうわ。
君達がよく聞く“頭の良い”相武高校って言うのは表の顔。本当の顔はある種の“天才”が集まる高校よ。俊君は銃に関する知識と技術。佑君は頭脳と国から信頼されているハック術ね。
貴方達はそんな天才的な“技”を持ってるわ。そのおかげで同世代と競っても誰も貴方達には遠く及ばない。」
「ちょっと待ってください。なんで銃に関する知識や技術が必要なんですか?そんなの…」
「必要ないと思う?」
俊は自分の質問をそのまま返され戸惑ってしまった。
「今は貴方達も知っての通り警察は役に立たない。それに全く動いてもいない。じゃあ何故凶悪犯達は捕まるのかしら。誰の手によって捕まるのか、分かるかしら?」
そう聞かれると俊は頭がクラクラしてきていた。
実際日常的にそんな事を気にした事を1度も気にした事が無かった。ただニュースを見ていても“危ない世界になったな~”とか“この銃は○○じゃん”等と思うだけであった。
「正解は私達よ。」
そう言われて俊は更に混乱してきていた。
「まだ分からないって顔してるわね。要するに、相武高校の裏の顔は罪人を裁く為の高校。またその人を育成したりする高校よ。だから貴方達は選ばれたの。さっきも言ったけど、俊君は射撃術、佑君は俊君達のサポートよ。」
そう説明され、俊はやっと意味がわかった。
「って事は今俺達を狙ってる奴とかを逮捕する事が仕事ってことですか?」
「ん~、まぁ殆どは逮捕で済むけどたま~に…ね。」
2人はまた驚かされた。
実際、今日だけで何回驚いているのだろうか。
特に絵理と会ってからである。
彼女は命の恩人ではあるものの、自分をかばってから射撃までの時間がかなり短かった。まず素人には無理だ。
他には体力もそうである。
公園へ逃げている時、俊は
-幾ら射撃が凄いからって、体力と脚の速さは負けない。
と思っていた。しかし実際は違った。彼女は俊のスピードと同じくらいの速さだったが、多分合わせて走っていた。体力の無い佑の為にも。それに公園に着いても彼女は一切息を切らしていなかった。
そしてまた驚かされた。今度は赤の他人を場合によっては殺せと言っているのである。それもただ銃が人より上手く扱えるからという理由だけで。
「俺そんなの嫌です。人をいつか殺すかもしれない高校生活なんて。最初は嬉しかったけど、やっぱりやめさせてもらいます。だからもう帰り…」
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