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「キリイ伯父さん…ごめんね、レンカ売られちゃうカモ。」
――バシッ
「やかましい!!」
「さーせんっ!」
強制連行して連れて行かれたのは、ここグランツ王国の王都、フォーン市の象徴たるヴォルグラン城だった。
下町住民のレンカにとって貴族街を歩くことさえほぼないのに、さらに上級階層街である王宮街なんて雲の上と同義である。
感動している暇もなく、男に引っ張られるまま城に入ってしまった。
大変恐れ多いが、あれよあれよと城内のあちこちに連れ回された。
その際、兵士さんや侍女さん、役人さんに生温かい目で見られていたことに、ひどく違和感を覚えた。
(皆さん何考えてんすか?)
最後に緋色のマントを纏った黒髪紫目の男性と金髪碧眼美女と面会し、何故か私絶賛される。
この時にこの人たちが誰なのか少し考えれば分かることだったのに、私は考えることを放棄していたのだ。
それを後悔することになるのに、時間は掛からなかった。
そして冒頭に戻る。
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