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「なにぃ~? 刹那きゅんは、あらひがここで飲もうってのに文句れもあんの~?」
これではまるで、まだまだ飲み足らず「二次会行くぞー!」と意気込んでいる親父だ。
刹那は呆れる一方だが、実華の勢いは留まる事を知らないようだ。ガブガブとチューハイを飲み続け、いつの間にか空き缶がさらに三本も増えている。
しかも、このままでは急性アルコール中毒になる可能性も示唆できた。
「おい実華! いい加減にしろ!」
「うるしゃい! あたひの邪魔すんらー!!」
刹那はやめさせようと缶を奪い取ろうとするが、実華は腕をブンブン振って抵抗する。
「仕方ない…」と溜め息交じりに刹那は呟き、右手の手の平と指先をピンと伸ばす。
そして、実華の後頭部目がけて、右手を振り下ろした。
ドスッ。
「うっ…。きゅ~…」
所謂、手刀を刹那は使った。ハムスターのような声を上げながら気絶した実華の右手からスルリと落ちかけた飲みかけのチューハイ缶を掴み、コトリとテーブルの上に置く。
「まったく、世話の焼ける…」
刹那は気絶している実華の身体を抱き抱える(形で言えばお姫様抱っこ)と、向かいにある実華の部屋に運び、ベッドに寝かせた。
その際に、部屋の鍵が開いてあった事に対して、さらに呆れる事となったが。
再び自分の部屋に戻った刹那は、まだ残っている缶を冷蔵庫にしまい、その日は眠りに就いた。
『────刹那! せーつなっ!』
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