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ふわふわと身体が浮いているような感覚の中、刹那の意識は目覚めた。しかし、これは夢である事だとすぐに把握する。
そこは、ある公園。
そう、『世界α』にある、緑丘市にある一般的な公園だ。
『待つんだ桜!』
公園の中は、それなりに多くの子供や親子連れがいたが、刹那はある少年と少女に注目する。
『刹那、こっちこっち!』
『…逃げ足は速いな』
幼い頃の刹那と、幼馴染の春吹桜(ハルブキサクラ)。栗色の肩までかかるほどの長さの髪は、刹那が桜と最後に助けた三年前まで変わらなかった。
この夢は、過去の出来事を立体映像のように映し出しているものだと、刹那は認識している。幼い頃の自分達を見る限り、小学三年生辺りか。二人は鬼ごっこをやっている。
『桜! 逃げるのは構わないが、気を付けるんだぞ!』
『だいじょーぶ! あたしはこのくらいで…きゃっ』
幼い桜は、後ろ向きで走っていたが、地面から角が突き出ていた小石に踵を引っ掛けてしまい、背中から倒れてしまった。
それを見て慌てた幼い刹那は、急いで桜の元を駆け寄る。
『大丈夫か、桜?』
『…うぅ…ひぐっ…刹那ぁ…』
『だから気を付けろと言ったんだ。立てるか?』
幼い刹那は桜の手を取って立たせ、怪我がない事を確認し、桜の服についた砂埃を払う。
しかし、一向に桜は泣き止む様子がないので、刹那は桜をあやすように頭を撫でる。
『刹那…?』
『泣くな、桜。俺がいる』
『どういう意味…?』
『俺がいるから、泣く必要はない。桜は、笑っている顔が一番なんだ』
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