序章

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刹那の右隣に座っている男子学生が、訝しげに聞いてきた。 地上柊介(チガミシュウスケ)。この世界において、刹那の友人にあたる。顔や性格、雰囲気は、ヲタクじゃないところを除けば、向こうの世界の修介と瓜二つだ。 「いや、少し昔の事を思いだしていただけだ」 「また言ってんのかよ。いいから、お前は記憶喪失なんだって」 「…この世界からしたらな」 横で記憶の構造について柊介が忙しなく話していたが、刹那は無視して窓の向こうの空…いや、元の世界を思い浮かべていた。 (修介達は…桜は、元気でやっているだろうか…?) 答えは、見つからない。 この世界にいる限り。 .
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