1249人が本棚に入れています
本棚に追加
澄み渡る空の下、叫び声は高らかに響く──
「太陽~!はーやーくー!」
その声の主は、少し幼さを感じる口調で、後ろを歩いている俺を呼ぶ
「ふぁぁ……ふう。真由さんよ~。早よ学校に行っても何かあるワケちゃうぞ~」
少し離れた所から手を振る彼女に、俺は欠伸をしてから言った
「あるよ~。だって……」
彼女は追いついた俺の横について、期待に胸を膨らませた笑顔で、
「今日から二年生なんだもん!」
今日、俺達は二年生になる
一生のうちに一回あるかどうかという大イベントの数々を、およそ半年間で体験した高校一年生が終わるのだ
まあ、別にそれがどうって事はない
二年になったからって、俺らの関係が変わるワケちゃうし、真由がポニーテールからツインテールに変わるワケでもない
進級とか……真由の家絡みの事件に比べたらちっぽけな行事やし
そんな風に経験豊富振ったことを思いながら、横に目を向ける
真由はスキップでもしそうな笑顔で、
「二年生~になったぁら♪二~年生ぇ~になったぁら~♪」
新小学生の新生活への期待を込めた歌を、自分の気持ちになぞらえて歌っている
……高校の二年生でも、こいつは新学年への期待でいっぱいらしい
最初のコメントを投稿しよう!