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イラついた。今もまだイライラしてる。
大体自分から誘っておいて思いっきり突き飛ばすって何様のつもりなんだ。
それにしても面白い転入生が来たもんだ。
あいつから感じる力、手に入れないわけにはいかない。
普通の奴よりも不思議で俺にとってとても不快な何かを感じた。
多分、俺と真逆。光を使う奴なんだろう。
―ガラッ
教室の扉を開けると全員がこっちを向いてくる。
静まり返る教室で一人何をして良いか戸惑ってるやつがいる。
あいつだ。
今日のターゲットはこいつに決まりだ。
数秒後俺が席に着くのと同時に教室はいつものような騒がしさを取り戻す。
今日は月に一回のあれが行われる。
セカンドワールドへ行って魔物退治だ。
命を懸けて魔物を退治する。
実際危なくなったときは力の使える教師が元の世界へ送り戻す。
安全を第一としてやっているが怪我人は毎回でる。
今までに死んだ人はいないらしいが。
「♪~♪♪~♪~……これよりセカンドワールドへ移動し魔物退治を始めます。一年二組、二年二組、三年二組の皆様、準備はよろしいでしょうか。これより―」
毎回流れるこの放送を全員が緊張した面持ちで聞いている。
勿論俺だって緊張しないわけがない。これから起こることに興奮覚える。
今日は何をしようか、どういう風に痛めつけるか。
次第に教室の空間が歪みだし目の前が光に包まれる。
いちいちこんなことしなくても行くことは可能なのに。
まぁここは校長か誰かの趣味で演出してんだろうが俺としてはいまいちとしか言いようがない。
視界が開けば岩に囲まれた洞窟の中らしいところに移動していた。
俺は魔力を使って宙に浮きその場からさっと離れた。
「リクロス様御待ちしておりました。」
「あぁ。それよりお前は何度言えばその名前を言わなくなるんだ。」
「失礼致しました。しかしこの世界ではこの名前でと魔王様からの御命令でして…。」
リクロス、それは俺の本当の名だ。
そしてコイツの言う魔王様とは俺の父親のこと。
セカンドワールドの魔王が父親で普通の人間が住む世界の普通の女性が母親。
そう、俺は正真正銘のハーフなのだ。
特別な力、この世界でいうフォートを持つ者の中でもハーフは珍しい。
大体は人の世界に紛れ込んでいる精霊などに気に入られてって言うのが多いらしい。
「他の奴等にばれない程度なら許そう。だが人前では絶対にその名前で呼ぶな。いいな。」
「承知致しました。」
。
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