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「あ、…いえ、何でもございません。」
しゅんとした雰囲気を出しだすライディス。
こいつが俺に向けている感情は知っている。
「ライディス。ご褒美が欲しいか?」
「っ……は…はい。」
返事を確認して直ぐに後ろに回り込み身体を包み込んでやる。
普段より多めの息を含ませながら耳元で喋る。
「今夜は寝かせる気は無いからな。」
「っ!………はい。」
こんなありきたりで誰にでも言う台詞でもこいつは悦ぶ。
俺は本気じゃない。
その事を誰よりも知っているのはライディス本人だ。
遊びまくってる俺をずっと見てきてるわけだからな。
「城に戻るぞ。」
闇の包まれワープをする。
そこはさっきまで俺があいつがいた俺の城だ。
廊下を奥の方に進み適当に空いている客室に入る。
「来いよ、ライディス。」
ベッドに近づき振り向いて言い放つ。
それを合図にライディスが俺に抱きついてくる。
「リクロス様……お願い…致します」
「あぁ。」
そのままベッドに押し倒しお互いを求めあう。
「ライディス。平気か?」
ベッドに力なく横たわっているライディスに話しかける。
「お気遣いありがとうございます。私は平気です。部屋は私が片付けておきます故、学校にお戻りください。そろそろ他の方々が帰られる時間です。」
優しげな笑顔と共に気遣いの言葉。
昔からずっとライディスに付き人をしてもらっているがライディスは全然変わらない。
いや、顔立ちや体つきは当然変わってはいるが親みたいに接してくれるところが本当に。
「悪いな。」
「いえ、お気になさらず。」
普段は笑いあったりしないのにやっぱり昔子供だった頃の名残でこうして笑い会う。
純粋に、身分の差など知らない時代が懐かしい。
「ぁ、失礼しました。」
今は昔のように笑いあってはいけないと決まりはないが、それはライディスの中では禁止らしい。
自分で気づけば直ぐに普段通りに戻ってしまう。
「いや、気にするな。俺はこれから学校に戻るその間のことは頼んだぞ。」
「承知致しました。」
教室に戻るといつも通りリタイアした生徒が数人いるだけでほとんどの奴はまだ帰ってきていなかった。
リタイアした奴等は相当なヘタレらしく教室に入ってくる俺を見てヒッと竦み上がっていた。
それを無視して自分の席に座るとアナウンスが流れてきた。
「お疲れさまでした。今回の授業はこれにて終了です。」
。
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