1不良希望者

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高校一年生、16歳の俺、蒼宮真琴は今日から新しい高校に通うことになった。 区切りの良い4月ではなく中途半端な10月から。 私立から公立への転校は親は勿論大反対だった。 けど『いじめられたから』と言ったら少し考えてあっさり了承を得てしまった。 まぁ、実際嘘ではないが。 男子校で綺麗系の顔、色白、おまけに名前がちょっと女っぽい俺は軽いいじめにあっていた。 それがどんどんエスカレートしてちょっとした性犯罪を受けた。 貞操の危機にあっただけ。 ただそれだけだ。 教師が教室を見回りに来たおかげで助かった。 もし助けが来なかったらって思うと今でもゾッとする。 「君が蒼宮君かい?」 ちょっと若い男の先生だ。 どうやらこの人が俺の新しいクラスの担任らしい。 体育会系というよりは知的で数学や理科などを教えていそうな感じだ。 「そうですけど。」 軽く作り笑いをして柔らかく受け答えをする。 すると相手も少し笑顔を作りながら答えた。 「そうか。俺は市野響<イチノ ヒビキ>だ。君のクラスの担任をしている。よろしくな。」 「こちらこそ、よろしくお願いします。いきなり編入なんてご迷惑をかけてしまって申し訳ないです。」 「いやいや、いいんだよ。クラスの子達も転校生が来るって喜んでてね。じゃ早く教室に向かおうか。」 にっこりと笑う先生に軽く返事をすると背を向けて歩き出した。 第一印象としてはとっても生徒思いの良い教師ってところだな。 前の学校の教師は自分の事しか考えていないような奴だった。 金持ちの人が多い元いた学校は親が政治家だったりという所謂お坊っちゃま校だった。 勿論俺の親は二人とも医者で高収入だ。 だから教師は親に逆らったりしないし、いじめが発覚しても親との言い争いを避けるために見ぬふりをする。 そんな最低な教師が集まった学校よりは全然良い学校だろう。 それに俺は公立がベストであろう事をするために編入したようなものだ。 突然先生が振り返り準備はいい?ときいてくる。 どうやら目的の教室に着いたらしい。 頷くと先生は教室の扉を開いた。 教室内のざわめきは止まることを知らず、音量は増すばかりだ。 俺から見たら流石馬鹿校とでもいったところか。 。
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