1不良希望者

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だけどこのクラスには完全な不良はいないようだ。 アニメや漫画に出てきそうな不良は。 「おらーテメェら!まこっちゃん困ってんだろ!」 まこっちゃん…とは山原がつけた俺の呼び名らしい。 だがこいつのおかげで助かった。 「山原くん。案内、いいかな?」 「おっけー!!行こう行こう!!」 俺の手を引き歩き出す山原。 回りにいた奴らはポカンとして見ている。 中には、良いのかよって感じの顔をしてる奴もいる。 「流石、徹は手ぇ回すの早いからな」 「でも良いのかよ、だってあいつ…」 チラチラ聞こえる声。どういう意味だ? 前方には全く気にしていない様子の山原。 何か隠し事か? どちらにせよ俺には関係のないことだが。気になる。 「あの、山原くん。」 「特に気にしなくて良いんだよ?まぁ、ちょっと俺の恋人が厳しいからそのことだと思うし。そんだけ!」 明るい。明るすぎるぞ。 しかしリア充ときたか。これには羨ましい限りだ。 「そっか。あとありがとう。助けてもらっちゃって。」 さりげなく礼を言うのは好印象上昇になるからな。 山原は驚いた様な顔をして、本当に困ってたの?なんて言っている。 …適当かよ……。 「あ、りっくん!また遅刻かよ!」 前方には…不良。 不良!不良だ!!ついに! 「はよ!」 りっくんと呼ばれた男は明るい山原を完全スルーして通り過ぎていった。 「今の…」 「そうだね!りっくんは初めて見たよね。軽い挨拶とかならしても言いけどあんまり関わらない方が良いかも。俺達とクラスは一緒だけどあんま授業に出てないし、すぐ喧嘩するしで結構有名な問題児だよ。」 きた!あいつだ!あいつこそ俺の求めていた不良! あいつに弟子入りを頼んで不良にしてもらおう! 「聞いてる?まこっちゃん。そんな熱心に見送ってないで。本当にヤバイんだからな。先生だって殴っちゃうし前なんか女子も危なかったんだよ。ま、悪いのは女子だったし優しめの平手打ちだけだったけどね。」 そんな話しを聞いてるようで聞き流しながら再び歩みを進める。 そこで予鈴がなりあと3分後に本鈴が鳴ることを知らせる。 「やっべ。教室戻んないと。また後で案内するな?」 うん、と軽く頷くと来た道を戻っていく。 途中でさっきの不良とすれ違った。 サボりか。 チャンスはここしかないと山原に話す。 。
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