1不良希望者

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「僕、ちょっと頭痛いから1時限目休むね。最初の授業なのにすいませんって先生に伝えといてもらえないかな…?」 ちょっと体調悪めな演技をして山原に頼む。 山原は大丈夫?なんて声をかけてから了承してくれた。 「ゆっくり休んできな。じゃ俺は教室戻るから!あと保健室は一階の中央階段の近くにあるから!」 丁寧に場所まで説明してから山原は元来た廊下を歩いていった。 さて、さっきすれ違った不良を追わなくてはいけない。 幸い歩いて移動していた不良は廊下の奥の方を歩いている。 見失わないために俺はこっそりと後を歩いていった。 行き着いたのは校庭の体育倉庫裏だ。 どうやらこの時間は校庭での体育がないらしく静まり返っている。 「あんたさ、何したいの。」 突然話しかけられて思わず肩が跳ねてしまった。どうやら俺の尾行はとっくにばれていたようだ。 不良の方を見ると煙草を手に取りライターで火を着けているところだった。 「僕、転校生の蒼宮っていうんだ。君と同じクラスらしいよ。」 笑顔で近寄ってみた。 こっちが手を出さないかぎり何かされることはないと思って。 けど間違いだった。 近づいた瞬間腕を引かれ壁に押し付けられた。 「だけ?」 「え、あの、弟子入りを頼めないかなって…僕も不良になりたくて。」 驚いた。 つか怖っ。 案外俺もビビりだったんだな。 いざこうなってしまったらパニックのせいで何をしていいかもどうやって逃げればいいのかもわからなくなってしまった。 だけど、それでも忘れないただ1つの目的は言うことができた。 あとはこいつの答えを待つだけだ。 「不良に弟子入り?優等生みたいなお前がか?」 「駄目……かな?」 「はっ。冗談。調子こくのもいい加減にしろ。それとも何だよ。もう俺の噂でも聞いて構ってもらいにきたのか?」 噂? 何の事だか全く分からない。 それかあれか。 山原が言ってた問題児でなんちゃらみたいな。 「あぁ、噂は…聞きました。少しですけど。」 そう言うとニッと口角が上がり怪しい笑みを浮かべた不良。 「てか、あの、名前教えてもらえないでしょうか?」 「名前?」 「はい。」 「坂下だ。坂下陸也。」 「坂下君ですね。ところでこの体制はなんですか…?」 坂下と名乗った不良は頭上で一纏めにした俺の腕を片手で押さえ、さらに必要以上に密着してきている。 。
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