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大学近くに来ると人がうじゃうじゃいる。
馴れた様子の勲が器用なハンドル使いで、人を掻き分けて進む。
あたしは優雅に後ろの席。
駐輪場手前にくると自転車の速度が落ちる。その瞬間にはらりと自転車から飛び降りる。勲が自転車を止める。
二人で同じ教室を目指す。
「おはよー。勲。道」
知った顔が声を掛けてくる。
「おはよ」
「おはよ」
「相変わらず愛想のねーなぁ。お前らは!ちょっとはニコッと笑えないのか」
「うん」
「何もないのに笑えない」
「あーもう!紗江っ!ちょっと言ってやってよ」
「博孝は、いつもそれ言うね」
近くに座ってた紗江が言う。紗江はあたし達と真逆で常にニコニコ笑顔。
「一日の基本の挨拶の時に笑わないで、いつ笑うんだっつー話よ」
ちょっと暑苦しい博孝も、あたし達と真逆で表情豊か。
「博孝。今、勲大笑いしてるよ」
あたしの発言でみんなが勲に注目する。
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