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「教えてよ。私のことを好きなのかどうか」
灰色の思考の固まりが、男の中で、もがいていた。過去の自分と、今の自分が、同時に思い出された。
「ねえ、私はそんな君が、ずっと大嫌いだった」
男は、コーヒーの入った真っ白のカップを見つめながら、彼女の話を聞いた。言葉が、脳裏で何度も繰り返された。
『私はそんな君がずっと大嫌いだった』
「そうだよ、私、私はそんな私が、ずっと大嫌いだった」
「愛してたよ」
「うん、私も」
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