肩幅の愛

8/9
前へ
/9ページ
次へ
「教えてよ。私のことを好きなのかどうか」  灰色の思考の固まりが、男の中で、もがいていた。過去の自分と、今の自分が、同時に思い出された。 「ねえ、私はそんな君が、ずっと大嫌いだった」  男は、コーヒーの入った真っ白のカップを見つめながら、彼女の話を聞いた。言葉が、脳裏で何度も繰り返された。 『私はそんな君がずっと大嫌いだった』 「そうだよ、私、私はそんな私が、ずっと大嫌いだった」 「愛してたよ」 「うん、私も」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加