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「…っ」
揉みくちゃになりながら人の波に飲まれている俺の下半身をごつい手がぎゅうと握る。
悲鳴を上げて周りを見ると、にやにやと笑うおっさんと目が合った。
「・・気持ちよがってたねぇ、おじさんも好きなんだよそういうの」
「ち、ちが…!!」
見られた…!!
俺の頭から血がさーーーっと落ちていった。
「もちろんただとは言わないよ、言われたくなかったら、ほら、ね」
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!
おれの頭に危険信号が点滅する。
どーする!どーする俺ぇええ!!!
「何やってんだテメー」
凛としたよく通る声。
榊!!!
「気持ちワリーぞシネこのクソインポヤロー。ハゲちらかした見苦しい頭見せてんじゃねー」
毒舌!!!
助かったけどおっさんがちょっとかわいそうになるぐらい毒舌!
おっさんは顔を蒼白にして走り去っていった。
「はー助かったーーどーも」
「助けた訳じゃねー」
「へ?今どー考えても俺助けてもらったけど?」
ツンデレとかゆーやつ?
「やっぱわかってねーのな」
極悪な顔で笑う榊に嫌な予感が走る。
「目立つし、とりあえず行くぞ」
そう言う榊に、階段下の目立たないところに連れて行かれた。
別の意味でやばい。ぼこられる気しかしない。
俺の顔を冷や汗がたらーり。
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