織姫と彦星

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その日の昼休み。 担任に雑用を頼まれたオレは、仕事を終わらせてから二人を追う形で教室を出た。 うちの学校は校舎が二つに分かれている。 一つはオレ達の一般教室がある東棟(教室棟)。 もう一つは音楽室や化学実験室などがある西棟(特別棟)だ。 学食はこの特別棟の中にある。 教室棟から特別棟へは一階の渡り廊下を使うか、お互いの校舎を繋ぐ三階の空中通路を使わなくてはならない。 ちなみにオレ達二年は、二階に教室があるが、大半は一階を通って移動している。 学食が一階にあるから当たり前なんだけどな。 そんなわけで、オレも渡り廊下を歩いているのだ。 「スズは今度の土曜になにを買うんだ?」 洋服かな?いや、最近マンガにハマってるぽいか―― 「何だ?」 急にオレの思考が止まる。 なぜなら、オレの視界に校舎の陰になって見えにくいところで固まっている女子が視界に入ったからだ。
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