織姫と彦星

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その日の帰り道。 オレは一人暮らしなので帰りにスーパーに寄ることがしょっちゅうある。 今日も家の近くにあるスーパーが安売りをしているので、見てから帰ることにした。 スズは図書委員の会議が、ライヤは最近受けたテストの補習がそれぞれあって、珍しく三人バラバラに帰ることになった。 学校から家までは歩いて一五分くらいで、買い物をして帰ると少し遠回りになるが、いい運動だと思えば問題ない。 「今日は、やけに雲が低いな」 特にオレの真上にある小さなものなんて、すぐそこにあるんじゃないかと思うほどに近い。手を伸ばせば届きそうだ。 ためしに手を伸ばしてみる。 「届くはず無いのにな」 もふっ 掴めた。 「は?」 そのまま雲は落ちてくる。 というか、オレが焦って引っ張ったから落ちてきたのだろうか? そんなのはどうでもいい。 つかめる雲が落ちてくるって事は、 「オレ、ヤバクナイデスカ?」 気付いた時にはもう遅い。 オレの視界はホワイトアウトした。
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