織姫と彦星

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ここは……? 確か雲に手を伸ばしたらつかめてしまって、そのまま押しつぶされたような気がするんだが。 雲に押しつぶされた経験をしたのは、オレが人類で始めてなんじゃないか? それよりも、押しつぶされる直前に「ヤバイかも、操縦ミスった……」とかいう声が聞こえたり、聞こえなかったり。 細かいことは気にしないようにしよう。 やっと、眼の焦点が合ってきた。 微妙にぼやけた視界に映るのは、とある女子の顔だ。 「――西森か?」 オレが相手の名前を呟くと、それが耳に入ったのか反応が返ってきた。 「そうよ。やっと起きたようね。というより、もうかれこれ三〇分程こうしているのだけれど……」 そう言われてやっと気付く。 オレは気絶したのだから横になって倒れているはず。 それなのに目の前に西森の顔が見える。 つまりは、オレが西森に膝枕をしてもらっている体勢になっているのだ。 「っ!?ご、ごめん!」 オレが焦ったのに対し、あくまでも西森は冷静だ。
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