織姫と彦星

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「えぇ、大丈夫よ。そんなことより、あなたはさっきのことを覚えているの?」 さっきっていうと、落ちてきた雲のことか? あれは押しつぶされたせいもあってか、ほぼ全てが記憶に無いんだよな。 「多分、全然覚えていない」 だから正直に覚えていないことを伝える。 でも、わざわざ記憶があるか確認したということは、西森もあの雲を見た、もしくは同じような被害にあった可能性があるわけだ。 「一応確認するけど、さっきのことっていうのは雲の事だよね?」 「やっぱり覚えているんじゃない」 西森が残念そうな顔をして立ち上がる。 「えーと、ニシモリさん?なぜコブシを握り締めて立っているのかな?」 凄く殺意を感じる。 「こちらこそ、わざわざ何を聞いているのかな?記憶を消すんだよ、原始的な方法で。という返事を返すわ」 ちょっ、それは殴るってコトですか? 「待とうか、オレはなんとなくでしか覚えていない。記憶を聞き出したってろくなことは――」
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