織姫と彦星

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窓の外を見た。 季節は春。それも四月の中旬だ。 校庭の桜は、そのほとんどが花を散らせ、濃い緑色の葉をつけている。 その校庭を部活の朝練習をする奴らは走ったり、跳んだり―― あの遅れているのは一年だろうか。 まあ、まだまだ寒いってのにご苦労なこった。 斯く言うオレは何をしているのかと問われれば、何もしていないと答えるしかないだろう。 部活動に所属して仲間と一緒に青春の汗を流すわけでもなし、学生だからと勉学に励むわけでもなし―― 「つまり、ダメ人間ってことだね」 「のわッ!」 驚いて声がしたほうを振り返ると女子の姿が。
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